ペルビックティルトは、ただ骨盤を動かすだけ?|シンプルな動きに表れる身体のクセ

仰向けで膝を立て、骨盤を前後に傾ける動きを青緑とオレンジの矢印で示したペルビックティルトのイラスト ブログ

仰向けになり、骨盤を前後へゆっくり傾けるペルビックティルト。

ピラティスでは基本的なエクササイズとして行われることが多く、ヨガやコンディショニングにも似た骨盤の動きが出てきます。

見た目はとてもシンプルです。

そのため、特に難しさを感じることなく、準備運動のひとつとして行っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、骨盤が前後に動いていれば、それだけで十分とは限りません。

骨盤を傾けるたびに肩へ力が入る。
膝が外へ開き、足裏の内側が浮く。
お腹を使おうとして、身体全体を力ませてしまう。

こうした動きまで確認すると、シンプルなペルビックティルトの中にも、その人の身体の使い方が表れます。

この記事では、ペルビックティルトの基本的な動きを確認しながら、動作を見るときのチェックポイントと、条件を変えながら身体の反応を確かめる方法をご紹介します。

ペルビックティルトの基本的な動き

今回取り上げるのは、仰向けで膝を立てて行うペルビックティルトです。

骨盤を前後へ小さく傾けながら、骨盤と腰まわりの動きを確認していきます。

  1. 仰向けになり、両膝を立てます
  2. 足は腰幅程度に開き、足裏を床につけます
  3. 骨盤を前へ傾け、腰と床の間の隙間が少し広がる方向へ動かします
  4. 反対に骨盤を後ろへ傾け、腰と床の間の隙間が小さくなる方向へ動かします

この前傾と後傾を、呼吸を止めずにゆっくり繰り返します。

仰向けで膝を立てたペルビックティルト。骨盤後傾では腰が丸まるカーブ、骨盤前傾では腰が反るアーチとなる違いを示した図解。

大切なのは、腰を強く反らしたり、床へ押しつけたりすることではありません。骨盤を小さく転がすように動かし、その動きに合わせて腰まわりが自然に変化する感覚を確認します。

一見すると、これだけのシンプルな動きです。

しかし、骨盤が前後に動いているように見えても、身体のほかの部分まで確認すると、さまざまな動きのクセが見えてきます。

「動いている」と「コントロールできている」は違う

骨盤を前後へ傾ける形がつくれていれば、ペルビックティルトはできているように見えます。

しかし、身体は目的の動きをつくるために、別の場所まで使って補うことがあります。

例えば、骨盤を後ろへ傾けようとして足裏で床を強く押す。お尻や太ももを固める。上半身まで力み、肩が床から浮く。

このような動きでも、見た目では骨盤が後ろへ傾いています。

一方、骨盤の動きをコントロールできている状態では、呼吸を続けながら動く範囲を調整し、前傾と後傾の間にあるニュートラルポジションにも戻れます。

身体のほかの部分を完全に動かさないことが目的ではありません。

骨盤を動かすために、肩や脚が必要以上に頑張っていないか。呼吸を止めず、自分で動く方向や大きさを調整できているか。

「骨盤が動いたか」ではなく、「どのように骨盤を動かしたか」を見ることで、シンプルな動きの中にある身体の使い方が見えてきます。

ペルビックティルトで確認したい4つのポイント

ペルビックティルトを見るときは、骨盤の動きだけでなく、呼吸や肩、脚の状態も確認します。

主なチェックポイントは、次の4つです。

  1. ニュートラルポジションから動き始められているか
  2. 肩や首に余計な力が入っていないか
  3. 力任せに大きく動かしていないか
  4. 膝と足裏が安定しているか

1.ニュートラルポジションから動き始められているか

ペルビックティルトでは、骨盤を大きく前後へ傾けることだけが目的ではありません。

まず確認したいのは、骨盤が前にも後ろにも傾きすぎていないニュートラルポジションです。

最初から腰を強く反らしていたり、反対に腰を床へ押しつけていたりすると、前傾と後傾のどちらか一方が動きにくくなります。

前傾と後傾の間を行き来しながら、ニュートラルポジションを通過し、必要な場所で動きを止められるかを確認します。

2.肩や首に余計な力が入っていないか

骨盤を傾けるたびに肩が床から浮いたり、腕で床を強く押したりすることがあります。

骨盤を動かそうとしているのに、首や肩まで緊張している状態です。

この場合、骨盤は動いていても、上半身の力を借りて動きをつくっています。

肩を無理に床へ押しつける必要はありません。呼吸を続けながら、首や肩の力を抜いた状態で骨盤を動かせる範囲を探します。

3.力任せに大きく動かしていないか

ペルビックティルトは、インナーマッスルだけを使って行う運動ではありません。

身体の表面にある筋肉も含め、複数の筋肉が協力して動きます。

ただし、息を止めてお腹を強く固めたり、お尻や太ももに力を入れすぎたりすると、骨盤の細かな動きを感じにくくなります。

動く範囲の大きさよりも、呼吸に合わせて滑らかに前傾と後傾を切り替えられているかを確認します。

4.膝と足裏が安定しているか

骨盤を傾けたときに膝が外へ開き、足裏の内側が床から浮くことがあります。

反対に、膝が内側へ寄り、足裏の外側が浮く方もいます。

骨盤を動かす力が脚まで伝わり、足元が左右へ揺れている状態です。

膝を完全に固定する必要はありませんが、足裏を床につけたまま、膝がおおよそ正面を向いているかを確認します。

骨盤の動きに合わせて膝や足裏が大きく崩れる場合は、足の置き方や、脚で身体を支える感覚を確認します。

これらは、できているかどうかを判定するための項目ではありません。

どこに力が入りやすく、どこが安定しにくいのかを知るための手掛かりです。

ペルビックティルトで身体の反応を確かめる3つの方法

動きのクセが見つかったときは、無理に正しい形へ直そうとするのではなく、身体の条件を少し変えてみます。

同じペルビックティルトでも、呼吸や道具を使うことで、力みや左右差に気づきやすくなります。

1.呼吸で動きのリズムをつくる

まずは、呼吸と骨盤の動きを合わせます。

ひとつの方法として、息を吸いながら骨盤を前へ傾け、息を吐きながら後ろへ傾けます。

前傾と後傾を急いで切り替えず、ひと呼吸にひとつの動きを合わせることで、骨盤をゆっくり動かしやすくなります。

息を吐くときに肩や首が固まっていないか。息を吸ったときに肋骨だけが大きく持ち上がっていないかも確認します。

呼吸を深くしようとして力む必要はありません。無理のない呼吸に、骨盤の動きを合わせることから始めます。

2.膝の間にブロックを入れる

骨盤を動かしたときに膝が左右へ開く場合は、膝の間にブロックを入れてみます。

ブロックを落とさない程度に軽く挟むことで、膝の位置と足裏の接地を確認しやすくなります。

強く押しつぶそうとすると、今度は内ももやお腹に余計な力が入りやすくなります。

ブロックを強く挟むことが目的ではありません。膝の位置を感じるための目印として使い、呼吸と骨盤の動きを続けます。

3.ストレッチポールの上で行う

通常のペルビックティルトに慣れている方は、ストレッチポールを背骨に沿わせ、その上で同じ動きを行う方法もあります。

身体を支える面が狭くなるため、骨盤が左右へ傾いていないか、片側の足で床を強く押していないかが分かりやすくなります。

肩や肋骨の左右差にも気づきやすくなります。

ただし、ストレッチポール上では動きが不安定になります。簡単にする方法ではなく、普段は気づきにくい偏りを確認するための発展方法です。

大きく動かそうとせず、足裏を床につけた状態で、小さな前傾と後傾から始めます。

呼吸、ブロック、ストレッチポール。

条件をひとつ変えるだけでも、同じペルビックティルトの感じ方は変わります。

どの方法が正解ということではなく、条件を変えたときに、自分の身体がどのように反応するかを観察することが大切です。

ヨガやほかのエクササイズにも共通する考え方

骨盤を前後へ傾ける動きは、ピラティスだけで行われるものではありません。

ヨガのキャット&カウ、ブリッジの準備、座位や立位で姿勢を整える場面など、さまざまなエクササイズの中に似た動きが含まれています。

姿勢や身体を支える場所が変わるため、すべてが同じ動作ではありません。

ただし、骨盤を動かすときに肩や首まで力んでいないか、膝や足裏が安定しているか、呼吸を続けられているかという見方は共通しています。

例えば、キャット&カウでは背骨が動いていても、腕で床を強く押し、肩がすくんでいることがあります。

ブリッジでは骨盤を持ち上げられていても、足裏の外側へ体重が偏り、膝が開いていることがあります。

完成した形だけを見ると、どちらも動作はできているように見えます。

しかし、身体をどのように支え、どこから動き始めているかまで確認すると、同じエクササイズでも見え方が変わります。

ペルビックティルトは、そのような身体の使い方を、負荷の少ない状態で確認できるシンプルな動きです。

レッスンを受ける方だけでなく、動きを伝える側にとっても、完成した形だけで判断せず、呼吸や全身のつながりを見るための参考になります。

シンプルな動きほど、丁寧に確認する

ペルビックティルトは、大きな負荷もなく、難しい形をつくるエクササイズでもありません。

だからこそ、回数をこなすことよりも、自分がどのように動いているかを確認することが大切です。

骨盤を前後へ動かしたとき、呼吸は続いているか。
肩や首に力が入っていないか。
膝や足裏は安定しているか。
前傾と後傾の間を、自分で調整できているか。

こうした部分を確認すると、普段は気づきにくい身体の使い方が見えてきます。

AXIS PILATES & Conditioningでは、難しいエクササイズができることだけを目標にはしていません。

シンプルな動きの中で、どこが動きにくく、どこに力が入りやすいのかを確認し、その方の身体に合わせて動き方や道具を調整しています。

ペルビックティルトのような基本的な動きを丁寧に見直すことも、立つ、歩く、身体を支えるといった動作につながる身体づくりの一部です。

普段行っているピラティスやヨガの動きを、別の視点から見直したい方は、まず現在の姿勢や身体の使い方を確認するところから始めてみてください。

AXIS PILATES & Conditioningでは、初回体験でカウンセリングと姿勢・動作チェックを行い、一人ひとりの状態に合わせたレッスンをご提案しています。

※動作中に痛み、しびれ、強い違和感が出る場合は運動を中止し、医療機関へご相談ください。

レッスン内容や料金については、「レッスン内容」「メニュー・料金表」からご確認いただけます。

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