「骨盤が前傾している」「骨盤が後傾している」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
姿勢について調べると、
「骨盤が前傾すると反り腰になる」
「骨盤が後傾すると猫背になる」
と説明されていることもあります。
しかし、骨盤の前傾・後傾は、本来どちらかが良くてどちらかが悪いというものではありません。
骨盤には前後に傾く動きがあり、背骨や股関節などと関係しながら、立つ・座る・歩くといったさまざまな動作に関わっています。
今回は、骨盤の前傾・後傾とはどのような動きなのか、反り腰や猫背とはどのように関係するのかを、姿勢だけでなく「動き」という視点から解説します。
骨盤の前傾・後傾とは?
骨盤は、身体の中で一つの位置に固定されているわけではありません。
立ったり座ったり、身体を動かしたりするときに、骨盤もさまざまな方向へ動いています。
その中でも、骨盤を横から見たときに前後へ傾く動きを、前傾・後傾と呼びます。
大きく分けると、
- 骨盤が前方へ傾く動き=骨盤前傾
- 骨盤が後方へ傾く動き=骨盤後傾
です。
ここで大切なのは、前傾・後傾という言葉は、まず骨盤の傾きや、どの方向へ動いているかを表すものだということです。
「前傾だから悪い」「後傾だから悪い」と考えるのではなく、身体の動きの一つとして捉えることが大切です。

骨盤前傾とは
骨盤前傾とは、横から見たときに骨盤が前方へ傾く動きです。
骨盤が前傾すると、骨盤の上にある腰椎も反る方向へ動きやすくなります。
ただし、骨盤が前傾すること自体が悪いわけではありません。
身体を動かす中では必要になる動きであり、姿勢や動作によって骨盤の位置は変化します。
骨盤後傾とは
骨盤後傾とは、横から見たときに骨盤が後方へ傾く動きです。
骨盤が後傾すると、腰椎は丸まる方向へ動きやすくなります。
こちらも、後傾すること自体が悪いわけではありません。
座位や身体を丸める動作など、日常生活の中でも骨盤が後傾方向へ動く場面があります。
骨盤が動くと背骨のカーブも変わる
骨盤の前傾・後傾は、背骨の動きとも関係しています。
骨盤の上には腰椎があるため、骨盤の傾きが変わると、腰のカーブもそれに合わせて変化します。
骨盤を前傾させると、腰椎は反る方向へ動きやすくなり、腰の前弯が大きくなる方向へ変化します。
反対に、骨盤を後傾させると、腰椎は丸まる方向へ動きやすくなり、腰の前弯は小さくなる方向へ変化します。
つまり、骨盤と背骨は別々に動いているのではなく、お互いに関係しながら身体の姿勢や動きを作っています。
ただし、普段立っているときの骨盤の傾きだけを見て、腰のカーブや姿勢をすべて判断できるわけではありません。
背骨のカーブには個人差があり、骨盤だけでなく、胸椎や股関節など身体全体との関係を見ることが大切です。
背骨本来のS字カーブについては、「背骨の正しい形とは?S字カーブと姿勢を分かりやすく解説」でも詳しく紹介しています。
骨盤前傾=反り腰、骨盤後傾=猫背ではない
骨盤の前傾・後傾について調べると、
- 骨盤前傾=反り腰
- 骨盤後傾=猫背
という説明を目にすることがあります。
たしかに、骨盤が前傾すると腰椎は反る方向へ、後傾すると腰椎は丸まる方向へ動きやすくなります。
そのため、骨盤の傾きは、反り腰や猫背のような姿勢と組み合わさることがあります。
ただし、骨盤の位置だけを見て「前傾しているから反り腰」「後傾しているから猫背」と単純に判断することはできません。
姿勢は、骨盤だけでなく、背骨・胸郭・股関節・頭の位置など、身体全体のバランスによって作られています。
また、同じように骨盤が前傾して見える場合でも、腰の反り方や胸椎の位置、股関節の状態などは人によって異なります。
大切なのは、骨盤の位置を一つの情報として捉え、身体全体がどのように連動しているかを見ることです。

反り腰と骨盤前傾の関係
骨盤が前傾すると、腰椎は反る方向へ動きやすくなるため、反り腰のような姿勢と組み合わさることがあります。
しかし、「反り腰が気になるから骨盤を後傾させればいい」と考えるだけでは十分ではありません。
たとえば、胸郭の位置や股関節の使い方、立っているときの重心などによっても、腰まわりの見え方や動き方は変わります。
そのため、反り腰が気になる場合も、腰や骨盤だけではなく、身体全体の動きを確認することが大切です。
猫背と骨盤後傾の関係
骨盤が後傾すると、腰椎は丸まる方向へ動きやすくなります。
特に座っているときなどは、骨盤が後傾し、腰や背中が丸くなる姿勢になることがあります。
ただし、猫背も骨盤の後傾だけで決まるわけではありません。
胸椎の動きや頭の位置、肩甲骨まわりの状態なども関係するため、「骨盤を起こせば猫背が直る」と単純に考えることはできません。
ここでも、骨盤だけを見るのではなく、背骨や胸郭を含めた身体全体の動きを確認することが重要です。
骨盤はどの位置が正しい?
骨盤の前傾・後傾について知ると、「では、骨盤はどの位置にあるのが正しいの?」と思う方もいると思います。
ピラティスや運動指導では、骨盤が前傾・後傾のどちらかに大きく偏っていない位置を、骨盤のニュートラルとして考えることがあります。
ただし、ニュートラルは「全員がまったく同じ角度になる位置」ではありません。
骨格や背骨のカーブ、股関節の形などには個人差があるため、自然に立ったときの骨盤の位置にも違いがあります。
また、日常生活では骨盤をニュートラルの位置にずっと固定しているわけではありません。
座る、歩く、しゃがむ、身体を丸めるなど、動作に合わせて骨盤も前傾・後傾しながら動いています。
そのため大切なのは、「正しい位置に固定すること」ではなく、自分の骨盤の位置を感じながら、必要に応じて前後へ動かせることです。
ピラティスで骨盤を前後に動かす理由
ピラティスでは、骨盤を前後へ動かすエクササイズを行うことがあります。
これは、「骨盤を前傾させること」や「後傾させること」そのものが目的ではありません。
骨盤を実際に動かすことで、
- 今、自分の骨盤がどの位置にあるのか
- 前傾・後傾のどちらが動かしやすいのか
- 骨盤を動かしたときに背骨がどのように動くのか
- 力を入れすぎずに動かせる範囲はどこか
といったことを確認しやすくなります。
自分では骨盤を動かしているつもりでも、実際には腰だけを反らしていたり、胸や脚に余計な力が入っていたりすることもあります。
そのため、前傾・後傾を繰り返しながら、骨盤と背骨がどのように連動しているかを感じることが大切です。
「正しい位置を覚える」だけではなく、自分で位置を感じ、必要な方向へ動かせるようになることが、ピラティスで骨盤を動かす一つの目的です。
骨盤の前傾・後傾を動かしてみよう
骨盤の前傾・後傾は、実際に動かしてみると自分の身体の特徴を感じやすくなります。
たとえば、椅子に座った状態で骨盤をゆっくり前後へ傾けてみます。
骨盤を前傾すると腰は反る方向へ、後傾すると腰は丸まる方向へ動きます。
このとき、
- 前傾と後傾のどちらが動かしやすいか
- 腰だけで動いていないか
- 力を入れすぎずに動かせるか
- 前傾と後傾の間で止まれる位置があるか
などを確認してみると、自分の骨盤の動きに気づきやすくなります。
無理に大きく動かす必要はありません。痛みや強い違和感がある場合は無理に続けず、動かせる範囲で行ってください。
骨盤を前後に動かす「ペルビックティルト」については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
骨盤の位置だけでなく、身体全体の動きを確認しよう
骨盤には前傾・後傾という動きがあり、背骨や股関節などと関係しながら身体を動かしています。
前傾・後傾のどちらかが悪いというものではなく、姿勢や動作に合わせて骨盤の位置も変化します。
そのため、「骨盤が前傾しているから反り腰」「後傾しているから猫背」と骨盤の位置だけで判断するのではなく、
- 背骨のカーブ
- 骨盤の動き
- 股関節の動き
- 胸郭や頭の位置
などを含めて、身体全体のバランスを見ることが大切です。
AXIS PILATES & Conditioningでは、見た目の姿勢だけではなく、実際に身体を動かしていただきながら、骨盤・背骨・股関節などの動きを確認し、一人ひとりに合わせてレッスンを行っています。
今よりもっと、動ける身体へ。
反り腰や猫背など姿勢が気になる方、自分の骨盤や身体の動きを一度確認してみたい方は、初回体験をご利用ください。

