ピラティスを始めたばかりの方に多いのが、「正しく動こう」とするほど全身に力が入り、かえって身体が動きにくくなることです。
見本と同じ形をつくろうとすると、首や肩に力が入り、呼吸まで止まってしまうことがあります。これは、運動が苦手だからではありません。初めての動きを理解しようと、一生懸命取り組んでいるからこそ起こる反応です。
ただ、ピラティスの目的は、きれいな形を無理につくることではありません。呼吸を続けながら、今の身体で動ける範囲を少しずつ広げていくことが大切です。
この記事では、正しく動こうとすると身体が固まりやすい理由と、初心者の方が最初に確認したい3つのポイントを紹介します。
ピラティスを始めたばかりの方によくあること
ピラティスでは、呼吸を続けながら、背骨や骨盤、手足の位置を意識して身体を動かします。初めて取り組む方にとっては、聞き慣れない言葉や動きも多く、一度にたくさんのことを考えようとしてしまいます。
その結果、次のような状態になりやすくなります。
- 姿勢を保とうとして、首や肩に力が入る
- お腹を使おうとして、呼吸を止める
- 見本に近づけようとして、動ける範囲以上に頑張る
- 次の動きを考えすぎて、身体の動きがぎこちなくなる
これらは、運動ができていないということではありません。初めての動きを理解しようとすれば、意識することが多くなるのは自然なことです。
最初からすべてを正しく行う必要はありません。まずは呼吸や動く範囲など、確認することを一つに絞る方が、身体の感覚をつかみやすくなります。
正しい形を意識すると、なぜ身体が固まるのか
身体を滑らかに動かすためには、動きに必要な部分へ適度に力を入れながら、それ以外の部分へ力を入れすぎないことが大切です。動きに合わせて力加減を変えることで、関節や背骨を動かしやすくなります。
ところが、正しい姿勢を崩さないように全身を固めると、本来は動いてほしい部分まで動きにくくなります。呼吸を止めてお腹を固めたり、首や肩に力を入れたりすると、見た目の形は保てても、動ける範囲は小さくなります。
例えば、腕を高く上げようとして肩まですくめてしまうと、首の周りに力が集中します。仰向けから上体を起こそうとして脚を強く押さえると、背骨よりも前ももへ力が入りやすくなります。
このようなときは、無理に完成した形を目指すのではなく、動く範囲を小さくしたり、補助を使ったりしながら調整します。呼吸を続けたまま繰り返せる動きを見つけることが、次の段階へ進むための土台になります。
見た目の完成度だけでなく、呼吸が続いているか、無理のない範囲で動けているか、特定の場所だけに力が集中していないかを確認することが大切です。

身体を固めることと、動きながら姿勢を保つことの違いについては、「体幹を鍛えるならプランクだけで十分?」の記事でも紹介しています。
初心者が最初に確認したい3つのこと
正しい動きを一度に完成させようとすると、確認することが増え、かえって身体へ力が入りやすくなります。まずは次の3つから、一つずつ確認していきましょう。
- 息を止めずに動けているか
- 動きを大きくしすぎていないか
- 一部だけに力が集中していないか
息を止めずに動けているか
最初に確認したいのは、動いている間も呼吸を続けられているかです。難しい動きや慣れていない動きに集中すると、無意識に息を止めてしまうことがあります。
ピラティスでは呼吸のタイミングも大切ですが、初心者の方が最初から動きと呼吸を完璧に合わせる必要はありません。まずは、息を止めずに動けることを優先します。
動き始める前に息を吸い、動きながらゆっくり吐いてみましょう。途中で呼吸が止まる場合は、動く範囲を小さくするか、動く速度を落とします。
小さな動きでも、呼吸を続けながら同じ動きを繰り返せれば、今の身体に合った範囲で動けている一つの目安になります。
動きを大きくしすぎていないか
動きは、大きければ大きいほど効果が高くなるわけではありません。今の身体で動かせる範囲を超えると、別の場所を動かして補おうとします。
例えば、腕を高く上げようとして肋骨が前へ開いたり、脚を床へ近づけようとして腰が反ったりする動きです。目的としている部分ではなく、動きやすい部分が代わりに動いている状態です。
最初は、無理なく動かせる小さな範囲から始めてみましょう。呼吸を続けながら、同じ動きを2~3回繰り返せることを確認します。姿勢が大きく崩れず、特定の場所に力が集中していなければ、少しずつ動く範囲を広げます。
小さな動きで身体の使い方を確認してから範囲を広げる方が、無理に大きく動くよりも、目的とする動きをつかみやすくなります。
一部だけに力が集中していないか
運動中に力が入ること自体は悪いことではありません。確認したいのは、いつも同じ場所だけが頑張っていないかという点です。
例えば、お腹を使う運動なのに首ばかりが疲れる、脚を動かすたびに前ももだけが張る、姿勢を保とうとして手やあごに力が入る、といった状態です。一部へ力が集中すると、本来使いたい部分の感覚がわかりにくくなります。
2~3回動いたら、一度止まって、どこに力を感じているかを確認してみましょう。首や肩に力が入っている場合は、息を吐きながら肩を下ろし、動く範囲を小さくします。手やあごに力が入っている場合は、握る力や噛みしめを緩めます。
すべての力を抜くのではなく、必要以上に頑張っている部分を少し緩めることがポイントです。そうすることで、必要な部分を使いながら動きやすくなります。
動きにくいときは、身体に合わせて調整する
ピラティスの動きが難しいときは、できるか、できないかの二つに分ける必要はありません。身体の状態に合わせて、動く範囲や姿勢、補助の使い方を変えることができます。
主な調整方法には、次のようなものがあります。
- 動く範囲を小さくする
- 膝や腕の位置を変える
- 動く速度を落とす
- 手や器具の補助を使う
- 動きと呼吸を分けて練習する

例えば、仰向けから上体を起こす動きでは、最後まで起き上がろうとすると、首や脚に力が集中することがあります。その場合は、座った姿勢から上体を少しだけ後ろへ倒したり、手や器具の補助を使ったりしながら、背骨を少しずつ動かす練習に変えます。
完成した形まで動けなくても、呼吸を続けながら、目的とする動きを確認することはできます。今できる動きから始めて、身体の感覚がつかめてから少しずつ範囲を広げます。
難しい動きを同じ方法で繰り返すよりも、今の身体に合った方法へ調整する方が、首や肩などへ余計な力を入れずに練習しやすくなります。
AXISがカウンセリングと動作確認を大切にする理由
同じ運動を行っても、動きやすい場所や力が入りやすい場所は一人ひとり異なります。そのため、AXISでは最初から決まったメニューを当てはめるのではなく、カウンセリングと動作確認から始めています。

カウンセリングでは、現在気になっている身体の状態だけでなく、これまでの運動経験や、日常生活で動きにくさを感じる場面についてもお聞きします。
その後、前屈や腕を上げる動きなど、普段の身体の使い方が表れやすい動作を確認します。呼吸が止まりやすいのか、特定の場所に力が集中しているのか、動きを別の場所で補っているのかを見ながら、運動の内容を組み立てます。
レッスン中も、動きにくさがあれば、動く範囲や姿勢、器具の設定を調整します。見本どおりに動くことを優先するのではなく、その方が呼吸を続けながら繰り返せる方法を探します。
カウンセリングと動作確認は、身体の良し悪しを決めるためのものではありません。その方にとって無理のないスタート地点を見つけ、必要な運動を選ぶために行っています。
初めての方に向けたレッスンの流れやご利用方法は、「初めての方へ」でご案内しています。
まずは呼吸を続けられる範囲から始める
次に運動するときは、姿勢や呼吸、動く範囲をすべて同時に直そうとせず、まず「息を止めずに動けているか」を一つだけ確認してみてください。
動く前に息を吸い、ゆっくり吐きながら身体を動かします。同じ動きを2~3回繰り返し、首や肩などに必要以上の力が入っていないかを確認します。
途中で呼吸が止まる場合は、動く範囲を小さくするか、動く速度を落としてください。それでも呼吸を続けにくい場合は、一度動きを止め、姿勢や方法を変えます。痛みが出る場合は、無理に続けないことも大切です。
呼吸を続けながら同じ動きを繰り返せる範囲が、今の身体に合ったスタート地点を見つける目安になります。そこから少しずつ動く範囲を広げていけば、形を無理につくるのではなく、身体の使い方を確認しながら練習できます。
AXISでは、運動経験の有無にかかわらず、カウンセリングと動作確認を行い、その方が無理なく繰り返せる動きから始めています。ピラティスが初めての方も、最初から正しく動かなければならないと考えず、今できる動きから始めてみてください。

