前屈をしたとき、指先が床まで届かない。
そのようなときに、「もも裏が硬いから、もっとストレッチをした方がいい」と考える方は多いのではないでしょうか。
確かに、もも裏の柔軟性は前屈に関係します。しかし、手が床につかない理由を、もも裏の硬さだけで判断することはできません。
前屈では、背骨の動き、お尻の位置、足元での支え方など、さまざまな部分が関係しています。
そのため、大切なのは手が床につくかどうかではなく、どのように身体を使って前屈しているかを見ることです。
今回は、AXISのレッスンでも確認している前屈について、3つのポイントから分かりやすく解説します。
手と床との距離だけでは、前屈の状態は分かりません
立った状態から前屈し、指先と床との距離を測る方法は、運動テストやリハビリテーションなどでも使用されています。
距離を測ることで、「前回より指先が床へ近づいた」といった変化は確認できます。
ただし、手と床との距離だけでは、身体のどの部分を使って前屈しているかまでは分かりません。
例えば、背骨を丸めながら前屈している人もいれば、お尻を後ろへ引き、股関節から上半身を倒している人もいます。
どちらも上半身を前へ倒す動きですが、身体の使い方は異なります。
前屈には目的に応じた動き方があります
お尻を後ろへ引き、股関節から上半身を倒す動き自体が、間違っているわけではありません。
物を持ち上げるときや、股関節から身体を折りたたむ練習では、このような動き方が必要になります。
一方、AXISで行う前屈チェックでは、お尻を後ろへ大きく逃がさず、背骨が前屈に参加しているかを確認しています。
お尻を後ろへ引くことで手が床へ近づいていても、背骨がほとんど動いていないケースがあるためです。

前屈には一つの正解があるのではなく、目的によって確認するポイントが変わります。
この記事では、背骨の動きと立った状態での身体の支え方を見る前屈について解説します。
前屈で確認したい3つのポイント
① お尻が踵より後ろへ逃げていないか
最初に確認したいのが、お尻の位置です。
AXISで前屈を確認するときは、横から見て、踵から上へ伸ばした垂直線付近にお尻を保つことを意識します。
お尻が踵より後ろへ大きく移動すると、股関節から上半身を倒しやすくなります。その結果、手は床へ近づいていても、背骨の動きが小さくなることがあります。
ここで確認しているのは、骨盤の角度を完全に固定することではありません。
骨盤全体がお尻と一緒に後ろへ逃げていないかという位置関係を見ています。
- 前屈するほどお尻が後ろへ移動していないか
- かかと側へ体重を逃がしていないか
- 股関節だけで上半身を倒していないか
を確認してみましょう。
② 背骨全体が前屈に参加しているか
次に確認したいのが、背骨の動きです。
AXISで確認する前屈では、頭を下げるだけでなく、首から背中、腰にかけて背骨全体が前へ曲がっているかを見ます。
- 頭だけを下げていないか
- 胸のあたりだけを強く丸めていないか
- 腰のアーチが残ったままになっていないか
- 一部分だけで前屈していないか
といった点が確認ポイントです。
手を床へ近づけようとすると、動きやすい部分だけを大きく使いやすくなります。
大切なのは背中を無理に丸めることではなく、首・背中・腰がつながり、一部分に動きが集中していないかを見ることです。
背骨の基本的な動きについては、「背骨は4つの方向に動く」でも解説しています。
③ 脚を固めすぎず、足裏で身体を支えられているか
前屈では上半身が前へ移動しますが、身体は足の上でバランスを保ち続ける必要があります。
このとき、倒れないように脚を固めたり、膝を強く突っ張ったりすると、背骨まで動かしにくくなることがあります。
前屈中は、次の5つを確認してみましょう。

これらは、手を床へ近づけようと頑張るほど表れやすいポイントです。
足裏で身体を支えられないと、お尻を後ろへ移動させてバランスを取ろうとしやすくなります。
前屈では、膝を完全に脱力させるのではなく、脚を固めすぎず、足裏で安定して立てているかを確認します。
膝を少し緩めて前屈を比べてみましょう
自分の前屈を確認するときは、膝を伸ばした場合と、少し緩めた場合を比べてみてください。
- 足を無理のない幅に開いて立つ
- 膝を伸ばした状態で、ゆっくり前屈する
- 手と床との距離や、もも裏・背中の感覚を確認する
- 一度身体を起こし、今度は膝を少し緩めて前屈する
- お尻の位置や背骨の動きが変わるかを比べる
膝を少し緩めると、もも裏の張り方や脚の力みが変わります。
それによって、お尻を踵の上に保ちやすくなったり、背骨を動かしやすくなったりする方もいます。
ただし、この変化だけで「原因はもも裏」と断定することはできません。
手がどこまで届いたかだけでなく、お尻を後ろへ逃がさず、背骨を使って前屈しやすくなったかを比べてみてください。
痛みやしびれ、強い違和感がある場合は、無理に続けないようにしましょう。
手を床につけることだけを目標にしない
前屈で手が床につくと、「身体が柔らかくなった」と感じやすいものです。
しかし、手が床につくことと、身体を無理なく使えていることは同じではありません。
お尻を大きく後ろへ引いたり、動きやすい部分だけを丸めたりしても、指先と床との距離は縮まります。
反対に、手が床につかなくても、お尻の位置を保ち、背骨全体を使いながら安定して前屈できている人もいます。
前屈では、床までの距離だけを追いかけるのではなく、
- お尻が後ろへ逃げていないか
- 背骨全体が動いているか
- 膝や足に必要以上の力が入っていないか
- 無理なく呼吸を続けられているか
にも目を向けてみてください。
AXISでは前屈の形から身体の使い方を確認します
AXIS PILATES & Conditioningでは、姿勢だけでなく、実際の動きから身体の使い方を確認しています。
前屈でお尻が後ろへ逃げている場合と、背骨の一部分が動きにくい場合、脚に力が入りすぎている場合では、必要なエクササイズは同じではありません。
例えば、レッスンではピラティスチェアのバーを押しながら前屈することがあります。

バーに手を置いて押すことで、手の位置が定まり、お尻の位置を保ちながら背骨を前屈させる感覚を確認しやすくなります。
このエクササイズでも、バーをどこまで下げられたかではなく、お尻の位置、背骨のカーブ、脚や足裏の感覚を確認します。
背骨を丸めながら身体を動かす感覚については、「ロールアップができないのは腹筋が弱いから?」でも紹介しています。
このように、背骨を動かす練習、足裏で身体を支える練習、呼吸と動きを合わせる練習など、その方の動きに合わせて内容を組み立てます。
エクササイズ後にはもう一度前屈を行い、手と床との距離だけでなく、
- お尻の位置
- 背骨の動き
- 脚や足裏の感覚
- 前屈のしやすさ
がどのように変化したかを確認します。
身体が硬いと感じている方も、ストレッチを増やす前に、どのように前屈しているかという視点から身体を見直してみましょう。
まとめ|前屈は手と床との距離だけで判断しない
AXISの前屈チェックで確認しているポイントは、次の3つです。
- お尻が踵より後ろへ逃げていないか
- 背骨全体が前屈に参加しているか
- 脚を固めすぎず、足裏で身体を支えられているか
もも裏の柔軟性も前屈に関係しますが、それだけで前屈の状態が決まるわけではありません。
大切なのは手を床につけることではなく、お尻の位置を保ち、背骨を動かしながら足元で支えて、無理なく前屈できているかを見ることです。
大阪市住吉区・帝塚山のAXIS PILATES & Conditioningでは、姿勢や動作を確認したうえで、一人ひとりに合わせたピラティスとコンディショニングを行っています。
身体の硬さや動かしにくさが気になる方は、初回体験でご相談ください。

